弊社が考える課題創造とは

 章の構成を大幅に変更中につき、連番などが前後しているものがあります。今しばらくお時間をいただきたいと思います。なお、変更前の構成はこちらに保存しております。

目次

第一部 ものを楽に考えるための準備

第一章 概念と定義、ならびに弊社の発想法:                                                                                                                                (1)概念と定義、(2)弊社の発想法                                                                             

第二章 弊社独自の言葉の使い分けと独自に定義した概念:                                   (1)弊社独自の言葉の使い分け、(2)独自に定義した概念

第三章 様々な考察において弊社が活用する主な道具:                                                                                                                                         (1)概念の棚、(2)概念地図、(3)戦略的概念地図 

第四章 新しい何かを得る考察において活用する用語の定義:                                         (1)発明、(2)創造、(3)発見、(4)閃き/直観、(5)実現プロセス、(6)補足

第二部 課題創造とは

第五章 課題の定義:                                                                                                            (1)問題vs課題、(2)問題を解決するための課題、(3)問題の存在を前提としない課題

第六章 課題解決、課題発見、課題創造のプロセス:                                        (1)課題解決のプロセス、(2)課題発見のプロセス、(3)課題創造のプロセス

第七章 課題創造の再定義:                                                      (1)課題創造の再定義

第八章 課題創造と得られた課題の実現プロセスに不可欠ないくつかの概念:                                           (1)四つの安全と一つの安心、(2)特に、人間の尊厳の安全、(3)リングモデルとGOT、(4)厚生製品学と厚生未来学

第九章 課題の実現プロセス:                                                 (1)課題の実現プロセス

第十章 世の中の定義と弊社の定義の比較検討:                                                 (1)世の中の「創造」の定義、(2)弊社の「創造」の定義の特徴、(3)「創造」の定義の比較、                                        (4)「創造」に関連して、弊社が勝手に作った、世の中には無い定義

第三部 課題創造型研究開発と課題創造型事業

第十一章 戦略としての課題の解決/発見/創造:                                                                                                            (1)戦略としての課題解決、(2)戦略としての課題発見、(3)戦略としての課題創造

第一部 ものを楽に考えるための準備

 ここでは、弊社が使用する概念や道具についてご紹介します。

第一章 概念と定義、ならびに弊社の発想法

(1) 概念と定義

概念

 言語で表現された概念は、哲学事典によれば、「名辞」とよばれます。「名」は名前そのもの、諸橋轍次の広漢和辞典によれば、「辞」には「とく、説明する」という意味がありますので、弊社としては、「概念」より「名辞」と呼んだ方が合ってると思います。名辞は、名前と説明をセット(組)にしたものと考えることができると思います。

 なお、弊社は時折、判断などの文章も概念と呼んだりしてしまいます。気づいた時点で修正はしていますが、もし残っていましたら、ご容赦願います。

定義

 弊社は様々な概念の定義にあたり、言語による定義は極力避け、物示的(直示的・明示的)定義、あるいは操作的定義を用いるように心がけました。

 「深部潜在概念」とか、「新しい」と「全く新しい」の違いなどは、図解で示さないと絶対に伝わらないと思っていました。

隙間

(2) 弊社の発想法

 最も特徴的な点を挙げるとすれば、①「自分だったらこうする、こう考える」を考える、②自分の思考に必要な概念が無いなら勝手に創る、③図で考える、でしょうか。

第二章 弊社独自の言葉の使い分けと独自に定義した概念

(1) 弊社独自の言葉の使い分け

 かなり理屈っぽいですが、注意して使い分けていきたいと考えます。

 弊社では、書物は「物」、小説は「もの」、感動は「モノ」といった具合に使い分けます。ちなみに、知識も「もの」です。また、物/もの/モノという表記は長いので、これらを総称した「事物」も使います。

(2) 独自に定義した概念

 このサイトでご紹介している内容のほぼ全てが弊社独自のものであり、使っている用語もそのほとんどが弊社独自の定義によるものです。ここでは、弊社の提案をご理解いただく際に不可欠となる非常に重要な概念についてご紹介しています。

 最も重要な概念は、「深部潜在概念」と名付けたものです。

 弊社では、存在はしているが、その存在を知らない概念のことを「潜在概念」、その存在や内容をはっきり知っている概念を「顕在概念」と定義します。さらに、発見の連鎖により、いずれ潜在概念となり、顕在概念と変わっていく概念は、我々の思考の中に存在していない時点でも、どこかには存在しているという意味合いで、深部潜在概念と名付けました。

第三章 様々な考察において弊社が活用する主な道具

 弊社は、以下の三つの道具を主に使います。いずれも概念間の関係を表す道具ですが、使い方や機能が違います。

(1) 概念の棚

 包含関係(棚表示板&棚板と青矢印)と脈絡(赤矢印)の両方を同時に表現する道具です。両矢印とも強調する場合を除いて、基本的に省略します。

(2) 概念地図

 様々な概念を網目状に線で結んだものですが、弊社の場合、結線しない部分もありますので、一部に変形が見られます。 

(3) 戦略的概念地図

 最初に出発点と到着点を決めた上で、その間を結ぶ様々な概念を概念地図の要領で書き上げていきます。右図の例では、「放射性廃棄物線源からのγ線の照射」を活用して如何にして「活力ある人と社会の持続」を実現するかを考えたもので、太い赤色矢印で結んだ経路を戦略として選んだ例です。

第四章 新しい何かを得る考察において活用する主な用語の定義

 新しい何かを得る方法として思いついた7個の単語について意味を検討し、最終的に4個の単語に集約しました。ここでは、集約した4個の用語について定義した後、得られた某かが技術思想などの「もの」の場合に、その内容を「物」や「モノ」として具体化する「実現プロセス」について簡単に触れます。

(1) 発明

 発明、考案、創作、改良の四語は同じ概念(新しい、未知だったものをつくり出す)を表すものと考え、「発明」に統一しました。

① 発明当事者にとって未知であった。

② 某かの事物を案出またはつくり出した。

(2) 創造

 「創造」も発明の範疇ですが、二段階のプロセスを経て、存在すらしなかった深部潜在概念にたどり着く点を考慮し、発明から独立させました。

① 二段階(以上)の発明/発見/具体化を経る。  

② 深部潜在概念にたどり着く。 

③ 技術分野においては、技術的思想を実証する。

(3) 発見

① 既に存在しているが、まだ知られていなかったものを見つけ出す。

② 作り出さない。

(4) 閃き/直観

 「閃き/直観」も深部潜在概念にたどり着く点で創造の範疇かも知れませんが、二段階ではなく、一段で、直接たどり着く点が創造と大きく異なるものと考えます。さらに、最上段の「既知の事物」の存在が不可欠でありながら、そこから次段の「直観(深部潜在概念の顕在化)」への論理接続が存在しない点も考慮して独立させました。典型的な例としてモーツァルトによる作曲やアインシュタインにおける思考の飛躍を念頭に置いています。

① 最終の完成イメージ(深部潜在概念)を先ず見いだす。         

② 既知の事物から完成イメージに至る論理接続が存在しない。

③ 完成イメージを具体化する。

(5) 実現プロセス

 既知のものとして、要件と許容範囲、疑問・問題意識・方法、シーズ・原理、ニーズ・応用分野などが検証という形で密接に関わるものと考えます。イメージとしては右図のトグロのようなものでしょうか。何度も関わり、何度も検証するプロセスと考えます。

(6) 補足

探索

第二部 課題創造とは

 ここでは、弊社の社名の由来となった「課題創造」について考えます。

第五章 課題の定義

 課題の定義を次の3点(① 問題 vs 課題、② 問題を解決するための課題、③ 問題の存在を前提としない課題。)から考えた結果、弊社は、課題を「事態をより良くするために実施する事柄(の全体像)」と定義します。

(1) 問題vs課題

 弊社は、ビジネスの場面と同様に、「事態をより良くするために実施する事柄」として課題をポジティブに捉えます。

 なお、その具体的内容の多くは、「問題を解決するためのものであり、達成すべきもの」と考えられているようです。

(2) 問題を解決するための課題

 課題の具体的内容の多くは、「問題を解決するためのものであり、達成すべきもの」と考えられている点は既に指摘した通りです。

 また、常に、課題設定の前の「問題はそこか?」の自問自答は不可欠と考えます。

(3) 問題の存在を前提としない課題

 問題の存在を前提としない課題を生み出す原動力は、変化? 刺激? 選択可能性? 

 弊社は、課題を「事態をより良くするために実施する事柄」と考えており、問題を前提としない課題は、さらに、人と社会に活力をもたらす事柄と考えます。

第六章 課題解決、課題発見、課題創造のプロセス

 「問題を解決するための課題」と「問題の存在を前提としない課題」をその生成プロセス毎に分解し、次の3種類(① 課題解決の対象、② 課題発見の対象、③ 課題創造の対象)に分類し直しました。ここでは、解決、発見、創造の各プロセスの創造的方法について検討しました。

(1) 課題解決のプロセス

隙間

創造的課題解決法

 実線の矢印が創造的課題解決法を表します。

 二段階の発明/発見プロセスから成っています。

(2) 課題発見のプロセス

 課題発見とは潜在的課題の発見であり、定義・解釈・ビジョンには触れません。

隙間

創造的課題発見法

 二段階の発明/発見プロセスから成っています。

(3) 課題創造のプロセス

 課題創造は、元々、構図①→②→③(① 眼前に横たわる課題を解決する(課題解決)→② 存在はしているが、その存在を知られていない、あるいは何処に在るのか知られていない課題を発見し解決する(課題発見)→③ であれば、次に来るのは、存在すらしていない課題をつくり実現(解決)する(課題創造))で考え出したものです。

 課題創造は、「解決する課題」と言うより、もっと積極的に「実現させる課題、実現させたい課題」をつくり出します。

課題創造法

 先の「創造的課題解決」や「創造的課題発見」との決定的な違いは、課題創造では、定義・解釈・ビジョンを見いだすところから始める点です。

隙間

 「課題創造の棚」と「問題の存在を前提としない課題の棚」の内、課題創造の対象に分類される課題を並べてみました。創造の第一段階である「未知だった定義・解釈・ビジョン」の発明/発見が、課題創造の要となることを発見しました。

課題創造のまとめ

 上記の「問題の存在を前提としない課題の棚」と「課題創造の棚」の棚を一つにまとめてみました。なお、棚表示板の内容と棚の順番を整理しました。

 また、この図では「人と社会の目的」として目的の棚板に弊社が掲げる「活力ある人と社会の持続」を記載しました。

第七章 課題創造の再定義

 上記のpdfファイルは、2017年に弊社サイト「定義と解釈」に掲載した「課題創造」とは(第1版)です。第一版の定義で「全く新しい」を使っていますが、弊社の使い分けは伝わっていなかったと考えています。そこで、考えがより正確に伝わるように、課題創造を再定義しました。

(1) 課題創造の再定義

新しいと全く新しいの違い

 弊社では、創造の二段プロセスの一段目に得られたものを「新しいもの」、その「新しいもの」を使って得られた二段目のものを「全く新しいもの」と使い分けています。

隙間

課題創造の再定義

 再検討の結果、弊社は、課題創造を以下のように再定義します。

 新たに発見や発明された定義・解釈・ビジョンを糸口とした、新しい「人と社会」をつくり出す課題の発見や発明。

 前章の再掲載となりますが。「創造的課題解決」や「創造的課題発見」との決定的な違いは、課題創造では、定義・解釈・ビジョンを見いだすところから始める点です。また、この図では「人と社会の目的」として目的の棚板に弊社が掲げる「活力ある人と社会の持続」を記載しました。

第八章 課題創造と得られた課題の実現プロセスに不可欠ないくつかの概念

 課題創造の第一段階における自問自答の答えが何であれ、それを基に課題を創造し、実現していくには、いくつかの条件とそれらの条件を満たす社会環境が不可欠と考えます。弊社は、満たすべき条件として「四つの安全と一つの安心」を提案し、さらに、社会環境が具備すべき要件として、リングモデルの活用とGOTの組み込み、厚生製品学と厚生未来学の構築を提案しました。

 なお、弊社は、技術分野における安全と安心を、ユーザーインターフェイス、ユーザーエクスペリエンスおよびユーザーパースペクティブの観点から、技術が人間に及ぼす影響を念頭に考え、人間を中心に置く四つの安全と一つの安心を提案しております。

(1) 四つの安全と一つの安心

四つの安全

 一つ目は身体の安全で、怪我や病気、死などからの回避、二つ目は精神の安全で、心の病、恐怖、ストレスなどからの回避、三つ目は能力と機能の安全で、人間が本来身に付けうる能力の喪失からの回避、四つ目は尊厳の安全で、人間を取り巻く機械との関係において、人間が機械に従属したり、社会が人間を機械のように扱う状況からの回避です。

一つの安心

 安心は、現時点の自分から離れた場所と時間において、これら四つの安全が保たれることです。  安心は基本的に時間の観念を含んだ概念であり、私たちが安心と言う言葉を使う時は、将来にわたって、安全が確保される時ではないでしょうか

(2) 特に、人間の尊厳の安全

弊社では、『人間の尊厳の安全』を、当面、

 人間を取り巻く機械との関連において

  1. 機械は、いかなる時も、人間の使用する単なる道具にすぎない。

  2. 従って、人間が機械に従属することは、決してあり得ない。

  3. 同時に、社会は、決して人間を機械のように扱わない

の3点が破られる危険がないこと と定義します。

(3) リングモデルとGOT

リングモデル

 イノベーションの『リニアモデル:①~⑧』の両端に研究対象と営業対象を書いて、両端の『人間/社会/市場』を重ねたら、余分な構成要素が一つぶら下がった『リング』ができました。弊社は、これを「リングモデル」と名付け、全ての企業にこの推進を提案したいと考えます。

GOT

弊社は人と社会への提供の是非を問う仕組みとして、Governance on Technology(GOT)を構築したいと考えます。GOTはMOT(Management of Technology:技術経営)をもじって弊社が付けた名前で、MOTが科学的知識や技術的知識の管理・運用方法を扱うのに対し、GOTは、新技術の監視、検証、チェックを目的とし、技術アセスメントを内蔵する概念です。

隙間

 この図は、リングモデルの有効活用を念頭に考え出したもので、リニアモデルの要素を三つずつ束ねる形でリングの外からコントロールする仕組みを表しています。

(4) 厚生製品学と厚生未来学

厚生製品学

 「厚生製品学」は弊社の造語で、製品・サービスから観た「より良い生活」を明らかにする知識体系と定義しました。「より良い生活」とは何かを様々なデータに基づいて探っていきます。

「厚生未来学」も弊社の造語で、厚生経済学を参考に決めました。

 未来社会を企業から提供される製品・サービスの観点から考察する知識体系であり、厚生製品学、GOT、リングモデルをキーワードとします。

第九章 課題の実現プロセス

(1) 課題の実現プロセス

 第四章の(5)において、新たに得られた「もの」を「物」や「モノ」として具体化する「実現プロセス」について簡単に触れました。そのプロセスは課題の実現においても同様ですが、課題の実現においては、「厚生未来学」が最も重要と考えられます。

 弊社は、課題の実現に使われ厚生未来学が重要視されるトグロを、特に「課題の実現プロセス」と呼ぶことにします。

隙間

第十章 世の中の定義と弊社の定義の比較検討

 上記のpdfファイルは、2021年以前に弊社サイト「定義と解釈」に掲載した「創造」とは(第6版)です。古い内容で、概念の棚ではなく、概念のビルディングを使っています。世の中の創造の定義の分類も今回の内容とは違っています。さらに、「創造」や「創造の方法」の文章による定義も異なっていますが、「深部潜在概念の顕在化」を初めて提案した版です(本質にぶれは在りません)。参考までに引用しました。

(1) 世の中の「創造」の定義

 右図に挙げた文献を用い、世の中の創造の定義を、①弊社に都合の良い定義、②弊社に必ずしも都合の良くない定義、③面白いとは思うが良く分からない定義の三種類に分類して集めました。

 多くの専門家は、有用性や価値を前面に出した定義を挙げています。

(2) 弊社の「創造」の定義の特徴

 解釈の余地が無いように、「二段階(以上)の発明/発見/具体化を経る」というプロセスの形で「創造」を定義しました(第四章参照)。

① 二段階(以上)の発明/発見/具体化を経る。  

② 深部潜在概念にたどり着く。 

③ 技術分野においては、技術的思想を実証する。

 なお、言葉による以下の定義も用意しました。

未知の糸口の発見あるいは発明から、全く新しいものを創り出す

(3) 「創造」の定義の比較

 弊社は、「創造」と「実現プロセス」を合わせて、「創造&実現プロセス」と呼ぶことにします。 

 弊社は、この「創造&実現プロセス」が、多くの専門家の提唱する有用性や価値を前面に出した「創造」に相当するものと考えます。                         

(4) 「創造」に関連して、弊社が勝手に作った、世の中には無い定義

第三部 課題創造型研究開発と課題創造型事業

 2017年7月、会社立ち上げ当初に描いていた課題解決、発見、創造の各型の事業概念図です。当時は定義・解釈とビジョンを別の階層に書いていました。

隙間

 上記の事業概念図を2022年12月現在の書式に書き換えました。

(1) 戦略としての課題解決

隙間

隙間

(2) 戦略としての課題発見

隙間

隙間

隙間

(3) 戦略としての課題創造

隙間

つづく