第一部 ものを楽に考えるための準備

第一部 ものを楽に考えるための準備

 ここでは、弊社が使用する概念や道具についてご紹介します。

第一章 概念と定義、ならびに弊社の発想法

(1) 概念と定義

概念

 言語で表現された概念は、哲学事典によれば、「名辞」とよばれます。「名」は名前そのもの、諸橋轍次の広漢和辞典によれば、「辞」には「とく、説明する」という意味がありますので、弊社としては、「概念」より「名辞」と呼んだ方が合ってると思います。名辞は、名前と説明をセット(組)にしたものと考えることができると思います。

 なお、弊社は時折、判断などの文章も概念と呼んだりしてしまいます。気づいた時点で修正はしていますが、もし残っていましたら、ご容赦願います。

定義

 弊社は様々な概念の定義にあたり、言語による定義は極力避け、物示的(直示的・明示的)定義、あるいは操作的定義を用いるように心がけました。

 「深部潜在概念」とか、「新しい」と「全く新しい」の違いなどは、図解で示さないと絶対に伝わらないと思っていました。

隙間

(2) 弊社の発想法

 最も特徴的な点を挙げるとすれば、①「自分だったらこうする、こう考える」を考える、②自分の思考に必要な概念が無いなら勝手に創る、③図で考える、でしょうか。

第二章 弊社独自の言葉の使い分けと独自に定義した概念

(1) 弊社独自の言葉の使い分け

 かなり理屈っぽいですが、注意して使い分けていきたいと考えます。

 弊社では、書物は「物」、小説は「もの」、感動は「モノ」といった具合に使い分けます。ちなみに、知識も「もの」です。また、物/もの/モノという表記は長いので、これらを総称した「事物」も使います。

(2) 独自に定義した概念

 このサイトでご紹介している内容のほぼ全てが弊社独自のものであり、使っている用語もそのほとんどが弊社独自の定義によるものです。ここでは、弊社の提案をご理解いただく際に不可欠となる非常に重要な概念についてご紹介しています。

 最も重要な概念は、「深部潜在概念」と名付けたものです。

 弊社では、存在はしているが、その存在を知らない概念のことを「潜在概念」、その存在や内容をはっきり知っている概念を「顕在概念」と定義します。さらに、発見の連鎖により、いずれ潜在概念となり、顕在概念と変わっていく概念は、我々の思考の中に存在していない時点でも、どこかには存在しているという意味合いで、深部潜在概念と名付けました。

第三章 様々な考察において弊社が活用する主な道具

 弊社は、以下の三つの道具を主に使います。いずれも概念間の関係を表す道具ですが、使い方や機能が違います。

(1) 概念の棚

 包含関係(棚表示板&棚板と青矢印)と脈絡(赤矢印)の両方を同時に表現する道具です。両矢印とも強調する場合を除いて、基本的に省略します。

(2) 概念地図

 様々な概念を網目状に線で結んだものですが、弊社の場合、結線しない部分もありますので、一部に変形が見られます。 

(3) 戦略的概念地図

 最初に出発点と到着点を決めた上で、その間を結ぶ様々な概念を概念地図の要領で書き上げていきます。右図の例では、「放射性廃棄物線源からのγ線の照射」を活用して如何にして「活力ある人と社会の持続」を実現するかを考えたもので、太い赤色矢印で結んだ経路を戦略として選んだ例です。

第四章 新しい何かを得る考察において活用する主な用語の定義

 新しい何かを得る方法として思いついた7個の単語について意味を検討し、最終的に4個の単語に集約しました。ここでは、集約した4個の用語について定義した後、得られた某かが技術思想などの「もの」の場合に、その内容を「物」や「モノ」として具体化する「実現プロセス」について簡単に触れます。

(1) 発明

 発明、考案、創作、改良の四語は同じ概念(新しい、未知だったものをつくり出す)を表すものと考え、「発明」に統一しました。

① 発明当事者にとって未知であった。

② 某かの事物を案出またはつくり出した。

(2) 創造

 「創造」も発明の範疇ですが、二段階のプロセスを経て、存在すらしなかった深部潜在概念にたどり着く点を考慮し、発明から独立させました。

① 二段階(以上)の発明/発見/具体化を経る。  

② 深部潜在概念にたどり着く。 

③ 技術分野においては、技術的思想を実証する。

(3) 発見

① 既に存在しているが、まだ知られていなかったものを見つけ出す。

② 作り出さない。

(4) 閃き/直観

 「閃き/直観」も深部潜在概念にたどり着く点で創造の範疇かも知れませんが、二段階ではなく、一段で、直接たどり着く点が創造と大きく異なるものと考えます。さらに、最上段の「既知の事物」の存在が不可欠でありながら、そこから次段の「直観(深部潜在概念の顕在化)」への論理接続が存在しない点も考慮して独立させました。典型的な例としてモーツァルトによる作曲やアインシュタインにおける思考の飛躍を念頭に置いています。

① 最終の完成イメージ(深部潜在概念)を先ず見いだす。         

② 既知の事物から完成イメージに至る論理接続が存在しない。

③ 完成イメージを具体化する。

(5) 実現プロセス

 既知のものとして、要件と許容範囲、疑問・問題意識・方法、シーズ・原理、ニーズ・応用分野などが検証という形で密接に関わるものと考えます。イメージとしては右図のトグロのようなものでしょうか。何度も関わり、何度も検証するプロセスと考えます。

(6) 補足

 弊社では、「探索」を明確な意志や意図を持って積極的に探すと言う意味で使います。従って、偶然に発見することはあっても、偶然に探索することはありません。